Asian Beauty

カタカナ表記にするとブライスにもいそうな気がする。が、もちろんそうではなく吉田アミさんの別名義による、ヴォイスを使わない、サンプラーによるひとりユニット。ひとりでユニットというのは自分で書いておいて変な気がするが、奏者と機材の間に微妙に隙間があるとき、たとえば「ギタリスト」みたいな呼び方は微妙に違うような気がするのだ、というのはいま突然思いついたこと。書かないと何も出てこないからこれでいいのだ。


昨日は「虹釜太郎presents 5時間耐久ライブ 吉田アミ編@円盤」というのに行ってきました。吉田さん体調悪くて大変だったみたいで、今日はだいじょうぶなのでしょうか。わたしならば数日寝込みます。


いろいろ書きたいところなのですが、最近ここにあまり来ていなかったのは、書きたいことがあっても途中でエネルギーが切れたりしていたからなので(ベースのギグバッグを買ったら案の定入らなかった話とかあったのだけど、もういいや)、最小限のことだけ書きます。全体像は他の人が書いてくれるでしょう。


Asian Beautyの名前の由来は吉田さん自身がどこかに書いていたような気がするので書かないけれど、遡ることなんと中学生。わたしが宅録を始めたのはもっと歳を取ってからなので(でもMTRは持ってなかった。「ピンポン」という手法で多重録音をしていた)、ちょっと感覚的にわからないのだが、それよりも恐ろしいことは、そのときに作ったトラックの出来があまりに素晴らしいことだ。そのときはMTRなしで、手足を使って(そう、足まで使うのはよくあること。ペダル踏むとかそういう次元の話じゃないよ)録ったのだとか。


なんとなく富田勲の逸話を思い出す。たとえばロータリースピーカー、あるいはフェイザーの効果を出すときに、ターンテーブルの上に電線をぐるぐる巻きにしたスピーカーを置き、ターンテーブルを回転させてそれをマイクで拾う、とか。


そのあと高校時代にMTRを手に入れて、学校の音を録ってテープスピードを変えたりいろいろ、音源は同じでも違った効果を出した曲の比較とかしてみせてくれたり。


興味がある方はCD買ってください。個人的には吉田アミさんの関わっている音源はどれでもお勧めだが、カリフォルニアドールズとAsian Beautyは最初に聴くのには取っ付きやすいのではないだろうか。URLは張らないけど、適当に検索してみて欲しい。


そして昨日初めてAsian Beautyのライヴを聴いた。機材はRolandのSP-505一台。SP系はサンプリングとグルーヴというコンセプトではなかったかと思う。ヒップホップとかクラブ、テクノ、DJ、まあその辺。


当たり前だが、普通の意味でグルーヴするような音は決して出てこない。聴いていて思ったのは、音数が多い、けっこう爆音、ダイナミックレンジが大きい、メリハリがある、構成がある、というようなこと。ノートを見ながら音出しをしていたけど、あのノートに書かれていたのはバンクの呼び出しとかそういうことなのか、構成といったことなのか、その辺がちょっと気になった。


初めてのアジビだったわけだが、感動してしまった。けっこう長丁場の演奏だったが、吉田さん、途中から疲れてきたのかテーブルに肩肘付きながらSP-505の操作に没頭しているようにみえた。


どうでもいいことだが、SP-505はすでにディスコンで、いまならSP-555ということになるのだろう。SP-404だと違うような気がする。


SP-505を手に入れようとは思わないが、これまで自らに禁じてきたAKAIのMPCとかこの類の機材を初めてて真剣に欲しいと思った。まずい。