2007-07-01から1ヶ月間の記事一覧

吉田アミ『サマースプリング』の感想あるいは「読み」について。

基本的に私がネット上に何かを載せるとき、実は誰かの反応とか、読んでもらえるとか、そういう期待はできるだけしないようにしている。むしろ読まれたくないもの/聴かれたくないものもアップしたりしている。たぶん尾崎翠の小説に出てくるようなたった一人の…

ガラスの破片と私

私はガラスの破片をそっと地面に置くと少し離れたところにある平べったいコンクリートに腰掛けた。ガラスの破片はわたしにあまりに多くのことを語りかけてくる。ここへ置いていって。連れて行って。あなたの頸動脈を切ってあげてもいい。光にかざすとキラキ…

吉田アミ『サマースプリング』太田出版 part two

間にいろいろ挟まってしまったが、続きを。「声の誕生」の章以後は、ハウリング・ヴォイス・パフォーマー、吉田アミの誕生の物語ではない。 一呼吸置き深呼吸して、渾身の力を振り絞り、声を発しようと意識を集中させた。「……ぅぅぅ、あーーーーー。」人間の…

ガラスの破片

書いてみて思ったけど、『ガラスの仮面』と似てるのね。 もうわたしはいい大人だけど、というか年寄りだけど、人の外側はまあ変わっていくけど、中身の、芯になる部分は案外変わらなかったりして。 そして今、『サマースプリング』を地でいっちゃっていたり…

<ノンフィクション>

(この項目、あとで書き換える可能性あり。) part twoとして「声の誕生」から最後まで書いて終わりにしようと思っていたのだが、ちょうど今、ガラスの破片を手に持って見つめている(実際にそうしているわけではない)状態なので、ここで使われている<ノン…

吉田アミ『サマースプリング』太田出版 part one

いくつか前置きしておきたいことがある。今回の一連の文章を書きたくなったのは、「春から夏」のあいだに川上未映子と吉田アミの小説あるいは<ノンフィクション>が発表されたことによる。わたしの中ではこの二人は球面状の二直線または点のような存在で、…

<音速を超えた>二人

奇しくも吉田アミさんが七月五日に上梓した本の名前と重複するが、たぶん今年のこの時期に吉田アミと川上未映子は<音速を超え>た。 - 第二次世界大戦末期、占領していたフランスから撤退を余儀なくされたドイツ空軍はロンドン爆撃の拠点を失った。 神の気…

春も夏もわたしの頭上を通り過ぎていく

吉田アミさんの『サマースプリング』出版記念パーティーがあったのが土曜。今日が火曜。ものすごく過去のことであるような気がする。結局行けなかったのだが、花は届いただろうか。そして今度の日曜日にひとつ歳を取り、今日から一週間後には芥川賞の発表が…